警防

木造建物火災の特徴と活動要領

こんにちは!消防マナブです!

前回は基本的な消火戦術について確認しましたね。
今回はそこから少しだけ深堀して、”木造建物火災”の特徴と、それを理解したうえで活動要領について学んでいきましょう!

木造建物火災の特徴

木造建物火災の特徴は3つあります。

火勢が強く、延焼危険が高い

木造建物は主要構造部(壁、床、柱など)が木材などの可燃物で出来ています。そのため、耐火構造のように火災が区画されづらく、建物内外問わず火炎が噴き出し、延焼しやすいことが特徴として挙げられます。

また、内装も襖や畳など燃えやすいものが使用されているため、火勢が強くなりやすいです。

倒壊・崩落危険が高い

先ほども述べましたが、木造建築は耐力上主要構造部が木材で出来ているため、火災の進行とともに構造部が焼き細り、建物強度が低下しやすいです。特に木造建物は屋根に瓦を葺いているため、建物の上部に重量が集まっているので、最盛期以降は家具や放水による水の荷重もかかるため崩落危険が高くなります。

そのため、消火活動中は耐力上主要構造部であるはりなどがたわんでいないか注意が必要です。たわみが現れたら、崩落危険があるので建物から距離をとるなど安全管理を徹底しましょう。

また、本部によっては木造建築物荷重崩落危険度判定フローを作り、建物の崩落に対応しています。

木造建築物荷重崩落危険度判定フロー

飛火危険が高い

木造建物火災では最盛期以降、火の粉が飛散します。また、屋根の焼け落ちや倒壊により火の粉が飛散します。それが原因で飛火する可能性がでてきます。

特に強風下では想像できないファンタスティックな場所から出火する危険があります!

そのため、消防ヘリコプターの赤外線カメラによる火の粉の監視や、強風下では洗濯物などの燃焼物を取り込むよう広報を実施する必要があります。

木造建物火災における活動原則

木造建物火災では延焼しやすく、現着時に火災が最盛期を迎えるケースが多くあります。そういう時は延焼防止のために屋外での活動が主となります。

逆に言えば現着時に屋内進入が可能な場合は、火災初期のうちに火点を叩くことが原則になります。

そのため、この章では筒先配備先の原則を紹介します。

前回の記事ではブロック火災における消火戦術を紹介しました。

背・側・側の原則

皆さんも一般的な建物を想像してみてください。正面(玄関側)は空地が多いですよね。しかも、道路に面していて延焼危険は低いですよね。

逆に背面はどうなってますか?物置になっていることが多くないですか?
しかも、建物と隣接していることが多いですよね。正面や側面よりも、背面は延焼危険が高いため、まずは優先的に筒先を背面に配備します。

側面は背面ほどではないですが、正面よりも延焼危険が高いので、

筒先の配備は”背・側・側の原則”といわれることが多いです。

2階優先の原則

これは屋内進入が可能な場合の筒先配備原則です。

これは既に2階が燃えている場合は1階よりも2階に優先的に筒先を配備するという考え方です。

これは2階の方が火勢の拡大危険が高く、焼き抜けの危険性があるため1階よりも進入可能な時間が短いことが理由として挙げられます。また、1階よりも避難がしにくいため人命危険も高いですよね。

木造建物火災で2階で進入する場合は火勢の延焼により退路が断たれる可能性があります。そのため階段から進入した場合は、屋外から退避用の三連はしごを架梯するなど退路は2系統確保しましょう。

木造建物火災における安全管理

①火災の進行による焼け細りや、建物内の堆積物や放水による水の荷重により崩落する危険性が高いため、はりのたわみなど建物躯体の評価を行う。

➁2階進入時は床の焼け抜けに注意する。退路が断たれないように階段とはしごのように、退路は2系統用意しておく。

引用文献

火災防ぎょ 一般財団法人全国消防協会