こんにちは!消防マナブです!
皆さんの初めて行った消防訓練はなんでしたか??
僕はホース延長訓練でした!
今回はホース延長や放水で必要な消防用ホースの基礎知識について確認しましょう。
初任科を卒業した方にもわかりやすい基本的な内容から振り返ります。
消防用ホースの構造
ホースの外側となる耐摩耗性と対外傷性、耐圧力性を担うジャケットとホース内側の漏水防止と水の摩擦傾向の低減を担う内張りで構成されています。
ジャケットは縦糸と横糸で織られていて、現在は平織が主流となっています。
横糸はホースの強度を、縦糸はホースを摩擦や外傷から守る役割を持ちます。
ホースが破断した場合、縦糸か横糸、どちらが破断したかで水の漏水具合が大きく異なります。普段僕らが見ている少量の漏水が横糸の破断です。縦糸が破断した場合、漏水の規模がすごく、それが原因で受傷してしまう事案もあったみたいです。
縦糸破断と横糸破断の原因
横糸破断の原因はズバリ
V字摩耗です!
ホース内に水が2~8割程度入っていると発生しやすくなります。なので、活動中というよりも撤収時などに破断しやすいです。
他にも急激なノズル操作による内圧の上昇があります。
縦糸破断の原因は
経年劣化です!
少子高齢化が進む中、消防行政を取り巻く財政事情はなかなか厳しいものがありますよね。皆さんの消防本部ではどれくらいのペースでホースを交換していますか?
私の所属では10年で交換するように更新計画を組んでいます。
ホースの10%程度は6、7年で寿命を迎えます。先ほど記載した受傷事案では、20年物のホースを使用していたみたいです。ホースはワインのように熟成はされないので、古いものは捨てましょう!
消防用ホースの種類
まずは消防用ホースの種類について!
消防用ホースなんて、普段使ってるホースだけだろと思ったそこのあなた!侮ることなかれ!意外に色々な種類あるので、そこから確認しましょう。
消防用ホースの技術上の規格を定める省令では以下のように種類を規格しています。
平ホース
省令上の定義では、以下のように定義されています。
ジャケットにゴム又は合成樹脂の内張りを施した消防用ホース(保形ホース、大容量泡放水砲用ホース及び濡れホースを除く。)をいう。
先ほど説明した、普段我々が日常使いしているホースのことですね!
こちらのホースの発展形としてジャケットを二重にしたダブルジャケットホースや、寒冷地対策のゴムや合成樹脂でジャケットを被覆した外面被覆ホースなどがあります。
さらに最近ではホースに長さが書かれていて、どれくらい屋内進入したか分かるようになっているなど、ホースの進化は止まりません。
保形ホース
保形ホースは省令では、以下のように定義されています。
ホースの断面が常時円形に保たれる消防用ホースをいう。
おそらく、皆さんが一番イメージしやすいのは吸管だと思います!
吸管のように常に円形のホースがこの保形ホースにあたります。
一般市民の方が使う2号屋内消火栓も保形ホースですね。
大容量泡放水用ホース
大容量泡放水用ホースは省令では、以下のように定義されています。
石油コンビナート等災害防止法施行令(昭和五十一年政令第百二十九号)第十三条第三項に規定する大容量泡放水砲用防災資機材等としての用途にのみ用いられる消防用ホースをいう。
あまり消防とは馴染みがないですが、このようなホースになります。
濡れホース
濡れホースは省令で、以下のように定義されています。
水流によりホース全体が均一に濡れる消防用ホースをいう。
濡れることにより、火の粉や輻射熱によるホースの損傷を少なくしているそうです!使ったことも見たこともないのですが、皆さんの所属で使っているところがあれば、使用感等コメントしていただけるとありがたいです。
消防用ホースの諸元
消防用ホース(平ホース)の諸元は以下のようになっています。
65mm | 50mm | |
重量 | 7㎏ | 6㎏ |
充水時重量 | 73㎏ | 46㎏ |
ホース内水量 | 66L | 40L |
使用圧 | 1.6MPa | |
曲がり限界 | 160㎝ | 120cm |
摩擦損失(目安) | 0.02Mpa | 0.05Mpa |
ここで注意が必要になるのが、摩擦損失です。ホースには通常のホースと低圧損ホースの2種類があります。
しかも、ジェットホースは全てが低圧損ホースなので問題ありませんが、キンパイやヨコイのホースはオプションで低圧損にできるため、通常のホースと低圧損ホースが混ざる可能性があります。そうなると機関員は圧力計算がめちゃくちゃになりますよね(泣)
そのため、上記の諸元を覚えることも大事ですが、自所属のホースの諸元を理解することが一番大事です!
消防用ホースの形態
消防用ホースにはまず太さが3種類あります。
40mmホース
軽く、取り回しが桁違いにいいが、摩擦損失が大きく流量を送れないため、主に屋内進入用に使用される。
50mmホース
主に放水のために管鎗を接続するホース。65㎜ホースより軽く取り扱いやすい
65mmホース
主に補水や大量放水で使用するホース。口径が大きいため摩擦損失が少なく、大量の水を送れる。
次に、消防用ホースはたたみ方がいくつかあります。
二重巻きホース
二重巻きホースは、ホースを半分の位置で折り返し、その個所から巻いてある形状のホースをいいます。延長するとV字になるので、スペースがある場所であればホースを捌くのが速く、楽ですね。
メリット
コンパクトに積載できる。
展張が容易にできる。
デメリット
高低差がある場合、展張が難しくなる。
崩れやすく、携行性が悪い。
島田ホース
島田ホースはホースを順番に折り返した形状のことをいいます。
メリット
高低差や曲がり角が多い場所でも比較的容易に延長ができる。
余裕ホースを捌くのが容易。
携行性に優れ、複数本の搬送が容易。
デメリット
なし
狭所巻き
狭所巻きはオス金具を中心に一重で巻く形状のことをいいます。
メリット
狭所でもホースの設定が容易にできる。
スペースがとられないため、活動場所を確保できる。
デメリット
ホース延長には不向き。
用途が屋内進入と狭所での設定に限られる。
以上がホースの形状です。皆さんもこれらの特徴を考慮し、その場に最適な方法でホース延長をすると思います。皆さんのこだわりやここに記載されていないメリット、デメリットがあれば、コメントください。
ホース使用時の注意事項
・通水時のV字部分の摩耗及び漏水に注意する。
先述したように横糸の破断は活動障害になるレベルなので、V字摩耗には注意しましょう。ホース内に2~8割程度充水している状態が最も破断しやすいので、活動中というよりも撤収時に破断が多いので注意しましょう。
・急激なノズルの閉鎖及びコック操作をすると、ウォーターハンマーが原因で急激にホース内圧が上昇するため注意する。
これについては後日、ノズルの基礎知識の方で説明します。
・重量物を打ち付けるなど、不用意な衝撃をホースに与えないように注意する。
これも内圧の急上昇と同じですね。火災現場でホースを延ばした場合、車両の通行の遮断、通行を遮断できない場合ホースブリッジを設定するようにしましょう。
・繊維等に化学的悪影響を与えるおそれがあるため、薬品の付着に注意する。
まとめ
今回はホースの基礎知識についてまとめました!
どうでしたか??いい振り返りになりましたか?
ホースは活動の根源になるものです。皆さんも復習しましょう。
引用文献
消防用ホースの技術上の規格を定める省令
消防用ホースの技術上の規格を定める省令(平成二十五年総務省令第二十二号) (elaws.jp)
消防用ホースの使用にあたって(第4版) 一般社団法人日本消防ホース協会
jfh.jp/data/01use_2.pdf
消防機械器具概論 一般財団法人全国消防協会
消防活動教本-火災の基礎知識、消防隊の資機材、活動要領- イカロス出版株式会社